ホリスティック -痛いところを治療しても治らない痛みもある


「ホリスティックな考え方」という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことがあっても意味までは知らないという方もいらっしゃるでしょう。
ホリスティックとは「全体性」という意味のギリシャ語。
つまりホリスティックな考え方とは、部分に執着せず全体を見た考え方です。
「木を見て森を見ず」という諺をご存知と思いますが、これは正にホリスティックな考え方を表現していると思います。

私は数年前からずっと腰痛に悩まされ続けていますが、「ホリスティックな考え方」による治療に出会えたおかげで以前に比べるとだいぶラクになってます。

最初は「腰が痛いから」とあたりまえのように腰のマッサージに通いました。
今思うと私自身が「腰が痛い=腰が悪い」と決めつけていたのです。そしてマッサージの先生ももちろん腰が悪いと判断し、ひたすら腰のケアをしてくれました。
腰のマッサージは少しは楽になるのですが、数時間したらまた痛みが戻ってくる状態で効果的な改善にはなりませんでした。

治療の効果が見えないので、専門的な治療を求めて整形外科に通院先を変えました。
レントゲンを撮るなど医学的診察でヘルニアと診断され、腰の牽引や腰に低周波電気を流す「腰のリハビリ治療」を行いました。が、これも一時的に楽になるだけで効果的な改善は見えません。

転機は今年に入ってから。
大学病院でとある注射を受けたところ、いままで痛かった部位の痛みが軽減して体の可動域が広がりました。そこで先ほどの整形外科の先生の提案で「運動療法」という治療を受けることになりました。運動療法とは痛いからと安静にするのではなく、むしろ体を適切に動かすことで治していこう、という治療法です。

この運動療法の視点、そして専門の先生の診察が「ホリスティックな考え方」だったのです。

運動療法の初診で、まずは触診されました。すると専門の先生に
・私の背骨周りや肩甲骨周辺の筋肉はガッチガチに固まっている
・大腿筋やハムストリングス(=太ももの筋肉)も固い
・そのために姿勢が崩れている、いい姿勢を持続できない
・これらの影響が腰の筋肉に負担をかけている
と言われました。つまり腰のケアだけしてもすぐ再発するのは当たり前で、背中や腿のケアこそ必要ということです。

あともうひとつ。
筋肉が固まるのは運動不足もありますが、ストレスも大きな原因だと言われました。つまり体のケアだけでなく、こころのケアも必要だということです。

痛いのは腰なんだけど、根本原因は腰ではない。
腰と”つながっている”筋肉の固さや疲労が物理的な原因。
その筋肉の固さや疲労を誘発してるのがストレス。
そう、腰は独立した単体の部位でなく、いろんなところにつながっているのですよね。
それも体の部位同士だけでなく、心の内部までにも「つながっている」のですね。

先生の見立てに基づき、運動療法では肩や背中・大腿部のストレッチ方法やトレーニングを習ったり、腰に痛みが出たときの対処法を教えてもらいました。一方リハビリの内容も腰付近の処置が重点だったメニューから全身をリラックスさせる内容に変更になりました。

この治療を始めてからもまだ痛みが出ますが、それでも半年前に比べると格段にラクになってます。また痛みが出ても対処法を知ってるので気持ちの面でも安心できてます。これまでは四六時中痛みの恐怖に襲われていたのが、とてもストレスだったんだなと感じてます。

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このように腰が痛いからといって、痛みの原因が腰にあるとは限らないのですね。腰だけをケアするのではなく、”腰に負担をかけてしまっている背中や太ももの筋肉の固さをケアすること”こそが有効なケアだったのです。これが「ホリスティックな考え方」です。

また私の腰痛の例でもすこし触れましたが、体の痛みの要因がストレス=心である場合もあります。自分で気づいてないストレスを、心に代わって体が「痛み」として発信しているのです。言うなれば腰痛は心の苦しみの「代弁者」となっているのです。

そう、体の部位同士だけではなく、体と心も一体として考えなければいけないのです。

治療しても治らない体の痛みは、実は心の苦しみを体が発信しているもの。つまり心と体は分けて考えることができない一体化したものなのです。
この一体化したものを全体で見ることができるからこそ(=ホリスティックな考え方ができるからこそ)、体の痛みの原因が心にある可能性を疑うことができるのです。

でも今の医療制度は、むしろ専門分化・細分化の傾向ですよね。
内科に外科、眼科に脳神経外科に皮膚科に心療内科・・・。○○科というのがたくさんあります。私も体の不調が出たときに「この痛みはどの科にかかればいいんだ?」とわからないこともあります。
これだけ細分化されている上に、これらの科が横に連携しているところがほとんどないようです。つまり外科にかかったらひたすら外科的な観点からの治療となり、内科などはともかく心療科の原因など疑う視点を持たれないケースもあります。
最近は特定の科に縛られない診療をする「総合診療科」を開設している病院も出始めています。これこそ「ホリスティックな考え方の治療」ですが、総合診療科がある病院はまだごくわずかなようです。もっと増えればいいのになぁ・・・。

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今回は私の腰痛を事例にしたので、「腰とほかの部位」を全体的に捉えましょうということが話の中心になってしまいました。でも心理カウンセラーの私としてはさらにその先の「体と心」も一体化したもの、全体的に見るものと捉えてほしいなと思います。

長年頭痛や神経痛に悩む人が、自分の思いを存分に語ったら痛みが消えた・軽減したという話を聞いたことがあります。正に心の痛みを体が代弁していた状態だったのでしょう。だから心の痛みをとることで体の痛みがなくなった・・・そう考えられます。
原因が不明で治療を続けても痛みが引かないという方で、何か悩みやストレス、引っかかることを抱えているかもと思う方は、心理カウンセリングを受けてみるのも有効と思われます。

みなさんも痛みを発している部分、問題が発生している部分をケアしても治らない・解決しない場合は、ぜひホリスティックな視点に立ってみてはいかがでしょう。根本の原因は実は患部じゃない他の部分にあって、そこの代わりに患部が信号を発信してくれているのかもしれませんよ。