話を聴くこと以外のカウンセラーのお仕事

心理カウンセラーの仕事って座って話を聴くだけでしょ?
それだけでこんな料金は高いんじゃない?ぼったくりでしょ?
ボランティアでもできることでしょ?

料金のことを言われると私も心苦しく感じています。もっと低料金で提供できれば、低所得で困っている方のお力になれるんだけどなぁと思ってます。
一方で「ただ座って話を聴くだけの仕事でしょ?」と言われると、カウンセラーのお仕事についてはなかなか理解されていないかもしれないなぁと感じます。そりゃ「話を聴くだけで1時間1万円」なんて思われていたら「カウンセリングの料金って高いよね」とか「ぼったくりの仕事」と言われて当然です。私だってそう思います。

心理カウンセラーのお仕事ってただお話を聴くだけじゃないんですよ。そこでその辺のことをみなさまにご案内していきたいと思います。そしてこの記事を読んで「これなら適正な料金だな」と思ってもらえたら幸いです。
なおカウンセラーの仕事のやり方は人によってまちまちです。ここではあくまでも「私の場合」の流れでご案内していきますのであしからず。

 

カウンセリングの準備(前日から直前のお仕事)

クライアントさんがいらっしゃる前日。新規の方の場合と継続の方の場合とで異なりますがそれぞれの準備があります。

新規の方に対して

新規の方の場合、初回のカウンセリングでは各種書類のやり取りがあります。それらの書類がきちんとそろっているかを確認し、不足している物はプリントアウトします。

まあ書類の準備なのでこれはたいした作業ではありません。新規の方に対してはむしろいかに緊張させないように気を配るかといった心理的側面のほうの準備に気を使っているかもしれません。

継続中の方に対して

継続カウンセリングの方に対しては、前回カウンセリングのカルテを見直すところから始まります。細かいことはカルテの作成時にいろいろ考えているので、この段階では前回どんな話をしたか、そしてどんな見立てや方針を立てたかを確認する程度です。
場合によってはカルテ作成時に立てた方針に合わせてツールや資料の準備を行います。たとえば次回は性格検査を受けてみたいと希望された方に対してチェック用紙を用意したり、共依存症について知識を身につけたいと希望された方に対して解説レジュメを用意したりといったことをします。

前回の内容を振り返るだけで済む場合なら10分程度の作業ですが、ツールの準備が必要となると時間が必要になります。既成の資料で済むならいいのですが、その利用者様に合った形に作り変えたりゼロから新たに作るという仕事が発生することも。そうなると数日要することもあります。

あとカウンセリングの方向性がある程度予測できる場合は、その方向に使えそうな知識や技法の確認・復習およびより深めた知識の習得をして準備しておくこともあります。

このように前日からこうした準備をしています。「当日話を聴くだけ」「それまでただ待っていればいい」というわけではないんです。
※あくまでも私の場合です ここまでやってないカウンセラーもいます

 

話を聴く

心理カウンセリングの肝となる仕事ですね。
「話を聴くなんて誰でもできるじゃん」。そう思いますか?でもみなさんやってみてください。他人の話を親身になって真剣に聴くということ、特に自分の考えや思いは一切話さずにとにかく相手の話を聴くに徹すること。やってみるときっと難しさを実感していただけると思います。10分続いたら大したものです。

心理カウンセラーはそれを30分以上、1時間近く行なう能力があります。それは相手が満足するような話の聴きかた(理論・技法)をきちんと勉強し、何度も繰り返しトレーニングを積んで培ってきた能力です。その辺の「私、人の話を聴くのが得意なんですぅ~」と言ってる人とは違う「プロの聴きかた」なのです。

本当はこの技術だけでカウンセリング料金は決して高いものではないと評価してもらえたらうれしいのですが・・・なかなか難しいです。

それにただ聴いてるだけじゃないんです。話しているときのクライアントさんの仕草から言葉に出てない心情を感じ取るということもしているのです。例えば・・・笑顔で「たいしたことじゃないんだけどね」と話していても、手を見ると拳をぎゅっと握りしめていることがあります。そこに気づいて「本当は悔しくてたまらないのかもしれない」という見立てを立ててそこにきちんと焦点を当てる、といったことをしているんですよ。

そして最後にきちんとその日の内容をまとめます。話しっぱなしじゃないんです。きちんと話の内容を振り返り、クライアントさんに目標や課題の発見、ストレス解消、癒しなどの「お土産(気づき)」を持たせなければカウンセリングの意味がありませんからね。

心理カウンセラーはみなさまと話している間の1時間、話しながらこんなお仕事をしています。

 

カルテの作成

ところでカウンセリングが終わっちゃえば心理カウンセラーの仕事は終わりだ思ってませんか?
私の場合、仕事のヤマ場はここだけではないのです。むしろカウンセリングが終わった後にやる仕事のほうが大変かもしれません。それをここから書かせていただきます。

私はカウンセリングと同じくらい、カルテの作成にも重点を置いてます。
カウンセリングのカルテの作り方は実は決まった様式はなくカウンセラーによってまちまちです。カルテはその日の面談の内容を記録するものですが、事こまかに記入する人もいればテーマや要点だけ箇条書きにして済ますという人もいます。
私はどちらかというと細かく書くタイプです。というより細かく「なってしまう」と言ったほうが合ってるかも。できるだけ簡略に書きたいのですが結局細かくなってしまうんです。

ひとことで「カルテの作成」というタイトルをつけてますが、そもそもカルテの作成作業ってどんなことをするのでしょう?
カルテ作成作業は大きく分けて2つの作業があります。

面談の記録

ひとつは記録系の作業。カウンセリングの内容やその時のご利用者様の状況などを文字通り記録しておきます。

記録系の作業は時間と記憶力の勝負。できるだけカウンセリング当日にほぼ仕上げるようにしてます。
一方で後になってから思い出すこと、記憶がよみがえることも結構あるんです。だからあえて1割程度は翌日に作業を残してます。

分析・研究

もうひとつは分析系の作業。これをさらに分けるなら、その日のカウンセリング内容の分析と、今後の方針を見立てる(研究する)という2種類の作業があります。

分析系の作業は基本的には記録系の作業ができてから行ないます。
持ってる知識だけではなく各種資料や文献を引っ張り出して多方面から分析をして、現在のクライアントさんのパーソナリティ(性格傾向や心的症状)を見立てたり、今後の治療方針を組み立てたりします。これも結構時間を要する作業なんです。

このようにして2日ないし3日くらいかけて記録・分析作業をしてカルテ作り上げます。でもこうしてきちんとしたカルテを作るからこそ、前日の準備はカルテの確認程度で済み、次回も適切な方向性でカウンセリングを進めることができます。一番最初の話につながっていくのです。

イメージは銀行?

ここまで心理カウンセラーの「みなさんには見えない部分」をご案内してきましたがどうですか?「たった1時間、ただ話を聴くだけの仕事」ではないことを知っていただけたでしょうか。

心理カウンセラーのお仕事は銀行の窓口業務に似ているかもしれません。銀行窓口の営業は午後3時に早々と閉店しますが、銀行の仕事はそれで終わりではないですよね。3時に閉めた後は事務処理が夜遅くまで続きます。
心理カウンセラーもみなさんと顔を合わせるのはたった1時間ですが、そのあともみなさまひとりひとりについて専門的な分析業務を行っているのです。

 

仕事と料金の評価

確かにみなさんに接しているのはたったの1時間です。それも話を聴く仕事です。でも話を聴く技術って結構難しいこと、カウンセリングの前後も「あなたのためだけに」時間をかけて記録分析作業をしていることを知っていただけたでしょうか。

・・・ですが、ここまでご案内したのはあくまでも「私の場合」です。カウンセラーによってはカルテなんかまったく作ってない人もいますし、分析作業や方針の策定などを行うような心理学知識を持ち合わせてない「聞くだけカウンセラー」もいます。格安でカウンセリングをやっている方はそういう方に多いです。

時々見られる格安カウンセリング。3,000円とか無償でやってる人もいます。
安い価格設定は、コスト意識が薄い人だからできることだと思います。知識を磨くための自己投資をしてないし、聴くだけで終われば労力もかからないから、自分の小遣い稼ぎ程度の値段で設定できるのかなと思います。

それなりの価格は、きちんと技術を持ったカウンセラーの裏付けでもあります。
ここまでご案内してきた通り、心理カウンセラーには「前日までの準備」「当日のカウンセリング」「カルテ作成」と大きく分けて3段階のお仕事があります。
カウンセリングに1時間、前日準備に平均1時間程度、カルテ作成に延べ6時間程度としたら、1回のカウンセリングに1人当たり8時間かかっていることになります。神奈川県の最低賃金が時給956円ですから、単純計算で7.648円相当の仕事に値します。
これにいわゆる技術料や各種コストの回収などまで考えると、1回のカウンセリング料金の相場が10,000~15,000円程度になること、ご理解いただけるでしょうか。

そんな中でつばさカウンセリングの「1時間6~7千円」というのは、行う立場からするとかなりがんばった料金設定なんです。これは・・・継続して通ってもらいたいがために設定したギリギリ下限の設定です。
心理カウンセリングは1回で終わることはあまりありません。継続して何度か通いながら徐々に回復を目指すことがほとんどで、1回で1万円だと毎月通うのが大変だと思います
6~7千円という値段は習い事の1か月のお月謝という感覚に近いかなと思ってます。この値段ならみなさまも継続して通いやすいかなと考えて設定しています。

格安とは言いませんが、6~7千円でそれ以上の価値をみなさまに提供できるようがんばってます。どうかみなさまのご利用、こころよりお待ちしています。

 

 

 

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