医療機関と心理カウンセリングの棲み分け

こころの不調を扱う施設。精神科やメンタルクリニックにカウンセリングオフィスとあり「どこに行ったらいいのか」と困っている方も多いと思われます。

精神科や心療内科、メンタルクリニックは医療機関です。医療機関では医学に基づいた治療を行います。体への直接的な治療を行うことができますし薬を処方することもできます。

 

心理カウンセリングの立ち位置

一方心理カウンセリングは医療機関ではありません。なので体に直接的な影響を与える治療はできませんし薬物療法も使えません。

・・・と書くと
「じゃあ心理カウンセリングは怪しい業種だな」
「ヤブ医者みたいなもので信用できない」
「やっぱきちんとした病院を選ばなきゃ」
と思われてしまったかもしれませんね。現にそう思われて偏見の目で見ている方も多いです。

心理カウンセリングは医療機関ではありませんが「専門サービス業」という立場です。イメージとしては「整形外科と整骨院の関係」に似ています。
整骨院では薬の処方や注射はできませんよね?でもマッサージ師や鍼灸師、整体師さんがそれぞれの専門知識(主に東洋医学に基づいたもの※)を活用して回復を目指します。

※日本で「医学」というとほとんど西洋医学を指すのでここでも「医学=西洋医学」として話を進めさせていただきます

同様に病院が医学に基づいた治療を行うのに対し、心理カウンセリングは心理学やコミュニケーション理論に基づき自発的治癒を促す方法で回復を目指すという立場です。
見方を変えると「薬や手術に頼らずに回復を目指す」「”治療者がなおす”のではなく”自分でなおろうとする”」という方針です。その援助を行うのが心理カウンセラーです。

医療機関と心理カウンセリングの相違点

医療機関の特徴

精神科やメンタルクリニックでも自分のところで心理カウンセリングを行っています。ただ「質」は様々なようです。きちんとしているところもあればあまり話を聴いてくれないという不満も聞きます。
これは精神科やクリニックが「医療機関だから」と考えると合点が行きます。

先ほどの通り医療機関では医学に基づいて治療をする、すなわち「医師が治す」のが目的です。カウンセリングはやりますが患者さんの「近況を」聞き取る程度で、あとは診断して薬を処方するだけ、という流れが多いでしょう。つまり患者さんからの話を聞くのは「医師が治すために必要な情報を得るため」と考えると、気持ちや考えといった情緒面までは聞いてくれないのも頷けます。

「治す」ことが目的だからこそ、患者さんの気持ちを汲むことは二の次になってしまう。ゆえにカウンセリングにどれだけ力を入れるかはその医療機関の方針次第になるため、カウンセリングに「質」の違いが出てくると考えられます。

心理カウンセリングの特徴

一方心理カウンセリングオフィスは「話を聴く」部分に特化した専門サービス業です。クライアントさんの話を一生懸命に聴き、気持ちを汲み、共感し、寄り添うことで安心感や元気を与えることが目的です。つまり「心理カウンセラーはなおしません!」

・・・と書くとまた「なんだ、なおさないのかよ!」「じゃあ心理カウンセリングは怪しい業種だな」と思われてしまいそうですが、もう少しがまんして読み進めてください。

心理カウンセリングの目的には前提条件があります。それはクライアントさんの”自分でなおる力を信じる”ということです。まとめると「クライアントさんの自分でなおる力を信じて成長・回復の援助をする」というのが心理カウンセリングです。
先ほど「医療機関は”医者が治す”」と書きました。心理カウンセリングは「自分でなおる(カウンセラーはその援助をする)」という違いがあります。その自分でなおる力を引き出すのが話を聴くこと、そして気持ちを汲むことができること、共感できること、クライアントさんに寄り添うことなのです。

 

あなたの方針はどっち?

最後は病理学の視点から。ひとことで「精神病」とか「神経症」などと言いますが、こころの症状には3つの分類があります。

  1. 外因性精神病
    交通事故などの外傷による障害で引き起こされる精神病 認知機能低下や人格変化など
  2. 内因性精神病
    遺伝や生まれながらの脳の障害などによる精神病 統合失調症、うつ病など
  3. 心因性精神病
    身体的・遺伝的な原因がなく、特定の状況や状態が原因となって精神反応を引き起こすもの うつ症状、パニック障害など

このうち1・2は心理カウンセリングオフィスでは対応できません。医療機関が主体となる分野です。
3は心理カウンセリングによる回復が期待できる分野で、医療機関でも対応しています。ここにあてはまる方が、どの施設を利用すればいいのかを迷われることになります。

3にあてはまる方で、
・基本的には自力で回復することを目指し、援助をしてくれる人と二人三脚で回復を目指すというやり方があってる人は心理カウンセリングオフィス
・医者の指示で治療し、薬を使うことがあってもいいという方は医療機関
というのがどちらを選ぶかのポイントになるかと思います。

あと3の中には「悩みを抱えていることによる不安」「人間関係の問題による気分障害」「新型うつ(適応障害)」といった症状も含まれるでしょう。これらは心理学だけではなく人間関係論や職場環境の知識が必要です。これらは医療機関よりも心理カウンセリングの方が適していると思われます。

心理カウンセリングオフィスは医療機関ではないけど専門サービス業だという立場。「治療する」のではなくて「一緒に回復の方法を考え、回復に向けての援助をする」という違い・特徴。ここを知っていただいて正しく選んでいただけたらと思います。

では今日はこの辺で。

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