医療機関と心理カウンセリングの連携

前回は”医療機関と心理カウンセリングオフィスの棲み分け”ということで、心理カウンセリングの立ち位置や医療機関との違いをご案内しました。心理カウンセリングオフィスは確かに医療機関ではありませんが、だからといって信用できないものではないこと、劣っている物ではないこと、着目点が異なるメンタルケア手段だということをご理解いただけたら嬉しく思います。

医療機関と心理カウンセリングの棲み分け
こころの不調を扱う施設。精神科やメンタルクリニックにカウンセリングオフィスとあり「どこに行ったらいいのか」と困っている方も多いと思われます。 精神科や心療内科、メンタルクリニックは医療機関です。医療機関では医学に基づいた治療を行います。体への直接的な治療...

この記事を受けて、では医療機関と心理カウンセリングオフィスはどういう関係なのかを今日はご案内していきます。

 

医療機関と心理カウンセリングオフィスの関係

ここまで書いてきたように、同じ「心の不調を扱う施設」でも医療機関と心理カウンセリングでは目的、拠りどころにする学問、方向性に違いがあります。それぞれに得意分野と不得意分野があります。

それで医療機関と心理カウンセリングオフィスの関係ですが・・・一般的にはあまり仲は良くないイメージがあります。医療機関側は「医療の知識もないくせに」と心理カウンセラーを煙たがっていたり、心理カウンセラー側は「凝り固まった医学だけでこころの援助なんかできない」と批判の目で見たり。
ただこのようにお互いを煙たがったり批判するのは一部の医師・カウンセラーだけで、特に最近はお互いの存在を認め合う傾向が感じられます。

つばさカウンセリングでの医療機関との連携

ここからは「つばさカウンセリングおよび私の場合」のお話になります。

当相談室ではほかの医療機関と併用して利用される場合、医療機関の主治医の了解をとるようお願いしています。主治医の了解が得られれば併用OKとしているのですが、正直なところ「心理カウンセラーなんぞに委ねるような医師なんていないだろうな」と思っていました。
ところが実際のところ、主治医の了解を得て当相談室をご利用いただいている方が結構います。医療機関から意外と任せてもらえていることに、私としてはとてもありがたく感じています。
当相談室ではこれまでにうつ病の方、発達障害の方で医療機関に通いながら当相談室で心理カウンセリングを利用されたというケースがあり、現在も継続して通われている方がいます。具体的な治療や薬の処方は医療機関で行い、当相談室ではこころのケアを行う、という形です。

利用者の方にお話を伺うと、その方が利用しているクリニックでは「情緒面に焦点を当てるようなカウンセリングは心理カウンセラーに任せたほうがいい」と自覚していたそうで、あっさり併用OKが出たそうです。
ほかの利用者からも同じような声が聞かれ、最近は医療機関では心理カウンセリングをいわば外部委託のようにしたり、またあえて併用させてセカンドオピニオンのような役割に活用しているところもあるようです。

ちなみにこのように医療機関の主治医の了解のもとで利用される場合、当相談室では基本的には傾聴技法のみで対応します。なぜならこういう場合、心理カウンセラーは主治医の治療方針を尊重して活動しなければならないからです。つまり医療機関や主治医の下での活動となります。
主治医はあくまでも「傾聴技法についてのみ」心理カウンセラーに委ねているわけで、むやみに特殊な療法を施すと主治医の方針を妨害する(さらには責任問題が発生する)ことになりかねません。なので主治医から特に指示や要望がない限りは傾聴のみで対応します。

このように医療機関から任せてもらえる一方で、私の方も医療でしか対応できないことについて理解し医療機関を信頼しています。前回の記事でお話しした外因性心因病や内因性心因病といった医学的処置が必要な症状の方は当相談室で引き受けるわけにはいきません。カウンセリングでは回復が見込めない症状の方には医療機関の受診を勧め、適切にリファーしています。

医療機関と心理カウンセリングオフィス。このようにお互いの立場や方針の違いや得意分野を理解して協調していく関係になっている。少なくとも当相談室ではそう感じています。

どっちを選ぶかはあなたの気構え次第

最後に「で、医療機関と心理カウンセリング、どっちがいいの?」と言われたら、「あなたの気構えによって選んで」ということになります。

心理カウンセリングに向いているのは「私もなおりたいから努力します」という人です。「なおりたい、なおるためなら自分もがんばる」「自分でなおる力があるはず。でもひとりじゃ難しいから誰かに手伝ってほしい」「何かきっかけを与えてもらえたら自力で回復に向かえそうな気がする」「私の気持ちを理解してくれる人がいれば心強い、元気が出ると思う」といった方なら、医療機関よりも心理カウンセリングのほうが向いていると思われます。

一方、治療者任せで治してほしい、薬を使ってでも治したい、周囲の人に行けと言われたから仕方なく治療するなどという方は少なくとも心理カウンセリングには向いていません。どちらかというと医療機関が向いているかもしれませんが、医療機関に行けば治るのかはそれは別問題です。

 

こんな感じで医療機関と心理カウンセリングの棲み分けについて、当相談室なりの見解をご案内してきました。「どちらが優れている」という基準ではなく、どちらがあなたが望んでいる治療方針に合っているのかという選び方をしていただければと思います。

では今日はこの辺で。

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