原点はシダックス

シダックスがカラオケルーム運営から撤退するというニュースが流れました。
私にとってのシダックス。それは私のカウンセリング業務の原点であり、シダックスのおかげで今の私があるといえるほど大変お世話になった場所です。
って、カウンセリングとカラオケがどうつながるのか意味不明ですよね。今日はその辺のお話を書いていきます。心理学やコミュニケーションの理論ではなくカウンセリングオフィスの運営や業務のやり方のお話になります。

私がカウンセリング業務を開始したのは2009年のこと。ホームページだけは立派なものを作りましたが、専用のカウンセリングルームは持っていませんでした。というのも駆け出しでいきなり専用ルームを持つ(部屋を借りる)勇気もお金も私にはありませんでした。そこで当面は出張専門の「ジプシーカウンセラー」で活動することを思いつきました。その出張カウンセリングの場所としてシダックスを利用していたのです。

※以下、ここではジプシーという表現を「放浪者」という意味で使います。あしからず

今でこそどのカラオケ店も会議などでのルーム利用を認めていますが、当時はまだカラオケの人気がある時代で「カラオケ以外の利用はお断り」というお店がほとんどだったのです。しかしシダックスは当時から会議や楽器の練習などカラオケ以外の利用者にも開放していたのです。
「自前のルームがなくてもここでカウンセリングできるじゃないか!」
そう思い、シダックスを活動拠点にする形でカウンセリング業務を開始しました。このように開業時に専用ルーム代わりとして活用していたことが、私にとって1つ目の「シダックスの思い出」です。

そうして活動を開始した3か月後。つばさカウンセリング初の利用申し込みがありました。それがなんと大病院の医師!それもかなり優秀な執刀医の方でした。こんな方が私のカウンセリングを利用してくれるなんて、と私のほうがビックリしました。同時に「私なんかがこんなすごい人を相手に”初めてのカウンセリング”をやって大丈夫か?」という心配もありました。

今では、初めてのクライアントさんがこの方だったからよかったと感じています。自分よりも立派な地位の方を相手にしている緊張感と、同時に「”初めて”を理由にしたくない、初心者っぽさを出したくない」というプロ意識からか、相当に慎重かつ丁寧なセッションを心掛けるようになりました。
その成果かどうかわかりませんが、回を重ねるごとにこの方との間にだんだん信頼関係が構築されていくのを実感することできました。回を重ねるごとに私のカウンセリングのやり方で効果が出ていることも実感できました。一方で私のやり方が適切ではなかった時、この方は指摘はするものの怒ったりカウンセリングを打ち切ることはされませんでした。それは私に失敗を経験をさせてくれ、リベンジのチャンスも与えてくれたということ。本当に有難いことでした。
つまり私はこの方のカウンセリングをしたと同時に、この方にカウンセラーとして育てられ、経験を積ませていただけたということでもありました。それも成功体験だけではなく失敗の経験、そこから挽回する機会も与えてくれた。私を初心者から一歩レベルアップさせてくれて、その後の活動に自信を持たせてくれた恩人です。

このことがあって私は「カウンセラーはクライアントに育てられる」「クライアントから学ぶことはたくさんある」という信念を持ちました。これは今でもブレることなく持ち続けています。

結局この方とは約3年間お仕事をさせていただきました。毎月1回、横浜市内の某駅前にあるシダックスで。
これが私にとってのシダックスの思い出の2つ目。この経験は私の一生の宝物です。

私のカウンセラー人生とシダックスの関わりで大きな思い出になっている物はこの2つですが、ほかにもまだあります。

まだカウンセラー養成スクールに通っている時期。実技試験合格に向けて仲間と傾聴の練習をしたのもシダックスでした。産業カウンセラー資格試験に向けた勉強会で講師をやらせてもらったのも、初めて「こころ塾」を行なったのもシダックス。
こう並べてみると駆け出しのころの私は本当にシダックスのお世話になっていたんだなぁ。本当にシダックスがあったおかげで今の私があることを感じています。ありがたい存在でした。

 

ここからはちょっと脱線して・・・カウンセラーの業務面のお話。
今日のお話は始めのほうにこう書いてます。

そうして活動を開始した3か月後。つばさカウンセリング初の利用申し込みがありました。

見方を変えると、カウンセラーとして活動を始めても最初の3か月は全く声がかからなかったのです。もっと自己開示すると最初の3年は1年に数件しか申込がない、そんなひどい状態でした。
利用者が増えたのは3年が経過したころ。ただ「時がたったから認知度が上がり利用者が増えた」のではありません。理由は明白。専用ルームを設けたら申込件数がが増えた。それだけです。

ジプシーカウンセラーの弱点は料金と設備。どうしてもレンタルルーム代という経費がネックになるんです。利益を切りつめても、専用ルームのあるカウンセリングオフィスと同レベルの料金にするのがやっと。でも専用ルームのほうはそれで適正な利益も確保できます。

利用者目線で見ても、同じ料金でかたや専用ルームでのカウンセリング、かたやカラオケルーム利用。きれいで落ち着けるお部屋でのカウンセリングと、ほかの客の歌声が漏れ入ってくる薄暗いカラオケルームでのカウンセリング。同じ料金ならどちらが選ばれるか。そんなの明白ですね。

私も最初は「ルームを持ってなくても技術が確かならやっていけるんだ!」と息巻いてジプシーカウンセラーをやっていました。しかしこの現実が語っているように、残念ながらジプシーでは専用ルームのあるカウンセリングオフィスには絶対にかないません。それは専用ルームを持たない限りはカウンセリングを仕事にして生きるのは不可能ということでもあります。

しかしこれからカウンセラー業務を始めようとする人が、いきなり専用ルームを持つのは怖い、そんなお金の余裕はないと考えるのも当然です。
そこで私が自分の経験から提案したいのは「まずはジプシーカウンセラーで試運転」というやり方です。

先ほどの通り、仕事としてやっていくのであればジプシーカウンセラーはルームのあるカウンセリングオフィスにかないません。しかし駆け出しのカウンセラーにお客が付くような甘い世界でもありません。
ならば最初の数年間は経験を積むことを重視して、利益を考えず「修行すること」を提案します。

利益を考えなければ、ジプシーでもカウンセリング料金を低料金に抑えることは可能です。低料金なら多くの人に利用されることが期待できます。利用者が多ければいろんな経験を積むことができます。その経験は勇気にもなりあなたの武器にもなります。
その後十分な経験を積み実力と自信がついたら、利益を生み出すやり方=ルームを持ち、適正な料金設定にして本格スタートを切る。そういう段階を踏むことを提案します。

私は2009年からつばさカウンセリングの名前でカウンセリングを始めましたが、実は専用ルームを設けた2012年をつばさカウンセリングのスタートとしています。最初の3年間は仕事ではなく修行だった、そういうことにしています。

私の場合、この修業期間にたまたま正規料金で大病院の先生に利用してもらい、さらに3年間も勉強させていただくことができました。ただこんなの滅多にないケースです。この先生には本当に感謝しています。

そしてシダックスにも。

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