アンガーマネジメント いま私たちにできること

新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う緊急事態宣言が延長になりました。外出自粛も長引いてストレスがたまりイライラしてしまうこともあるでしょう。
現在のこの状況下、いろいろ我慢しているのですからストレスは溜まって当然です。しかしそのイライラをほかの人に理不尽にぶつけている人がいます。

「いま私たちにできること」として3密の回避、リモートワークなどが提案されていますが、これらに加えて「アンガーマネジメント(怒りのセルフコントロール)」を身に着けることも「いま私たちにできること」のひとつだと私は考えています。

今回の記事は下記の理論・参考文献を拠り所にして書いたものです
・嫌われる勇気(岸見一郎 古賀史健)
→目的論的思考(A.アドラー)
・感情に関するガイドライン(出典不明 とある勉強会時に頂いた資料です)

ストレス生活はつらいもの でも・・・

宅配便の配達員が玄関先で「来るな!感染するだろ!」と怒鳴られる
介護士や看護師が近所の人に「お前らが感染を広めてるんだ!」と言われる
スーパーのレジ係が客から些細なことで文句を言われる

この事態の中で私たちのために必死で頑張ってくれている人が心無い扱いを受ける、心無い言葉を浴びせられるというニュースをこのところよく見ます。なんだか人として悲しいですよね。

また家庭内においても配偶者にあたる、子供にあたるといった事例が増えています。もっとひどいDVや虐待も増加しています。
外出自粛、出勤停止などで自宅から出られない日々が続き、同じ屋根の下で過ごすメンバーに対してイライラが募ってしまう。そのせいで怒りっぽくなる。そういう人が増えています。

自由が制限されているのですからこういったストレスを抱えてしまうのは仕方のないことです。だからと言って自分のイライラを発散するためなら他人を攻撃してもいいのでしょうか?
・・・それは間違ってます。

でも「じゃあこのイライラはどうすればいいの!」となりますよね。
そこでここではイライラから派生する「怒り」について、論理立ててご案内していきます。いわゆる「アンガーマネジメント」です。
怒りのしくみを知れば、みなさんもうまく怒りの感情をコントロールできるようになると期待しています。

怒りはコントロールできる

そもそも「怒り」ってどういうときに発生するのでしょう?
「そりゃ相手が私を怒らせるようなことをしてるからじゃないか!」
・・・そうですね。「相手に原因があるから」腹が立つものだと思いますよね。

先に答えを言いますと、そうではありません。
「相手に原因がある」のではなくて、実はあなたには「目的」と「相手への期待」があるから怒ってしまうのです。

つまり無意識に持っている期待と目的を自覚することができれば怒りはコントロールできるのです。

怒りの裏には「期待」がある

まずは「期待」について。
とある心理学の文献に、いろんな感情を言葉で定義したものがあります。その中で「怒り」はこのように定義されています。

怒りとは・・・
何か「当然こうであるべき」という期待があって、それが得られなかったり得られそうにないときの感情

怒りが湧き上がる理由は、実はあなたに「(相手に)こうしてほしい・こうあるべき」という無意識の期待があるからなのです。その期待通りにならなかったとき(あるいは期待通りになる見込みがないとき)に湧き上がる感情が「怒り」なのです。

先日のブログで「旦那に家事をしてほしいなら旦那の自由にやらせてあげてほしい、奥さんのやり方を押し付けてしまうと苦しくなってやらなくなる」ということを書きました。

たとえば旦那さんが食器洗いをする。とりあえず普通にはできている。なのに奥さんは怒る。「先に皿を洗ってからお茶碗でしょ!」などと。
この場合、奥さんには「食器洗いはこうするべき」「旦那もこのやりかたで洗うのが当然だ」という期待が無意識にあるのです。しかしその期待通りにならなかったので怒りの感情が沸き上がるのです。

その期待はあくまでも奥さんの主観によるものであって、世の中の決まりや常識ではありません。
旦那から見れば普通にできているのに奥さんの思う通りじゃないからと怒られるのは理不尽ですよね。

こんな場合のストレスコーピング。
相手に対して怒りが沸いてきたら、まずは「私はどうなることを期待していたか」と問いかけてみてください。
あなたは相手にどうしてほしかったのか、普通なら相手はあなたにどういう態度をとるものと思い込んでいるのか。あなたが無意識に期待していた行動・対応をみつけるのです。
そして「その期待はあなたの主観(思い込み)ではないか」と考えてみましょう。

つぎにこの言葉を思い出してください。

「あなたは他人の期待に応えるために生きているのではない」
「同じく他人もあなたの期待を満たすために生きているのではない」

あなたが「相手はこうあるべき」「相手はこうするはず」「それが普通、それがあたりまえ」と思っているのは、実はあなたの主観ではないか。
その主観を相手に押し付けてるだけではないか。逆の立場ならばこんなことで怒られても理不尽だよな・・・

これらに気づくことができたら、きっと怒りの感情は小さくなっていくはずです。

その怒りの「目的」は何ですか?

つづいて「目的」について。

「怒りの目的?そんなの、相手が悪いから怒るんじゃないか」
相手があなたに対して失礼なことをした。あなたに害を与えた。あなたの前でミスをした。だから相手を注意し戒めるために怒った。
このように怒る目的は「相手に指導するため、教育するため」だと思っていないでしょうか。

それ、思い込みです。怒ることを正当化するための「あと付けの目的」です。

たとえばレストランで、ウエイターさんがあなたに水をこぼしてしまったとしましょう。あなたはカッとなりそのウエイターに向かって怒鳴りました。

確かに相手のミスや自分の被害を訴えて相手に気づかせることは指導・教育に結び付くかもしれません。確かにウエイターが悪いのかもしれませんが、でもそれなら別に怒らずとも普通に注意するという穏便な方法がありますよね。怒る以外にも教育・指導する方法はあるのです。
その中で穏便な方法を選ばすになぜ怒ることを選ぶのでしょう?

それはあなたに「怒りたい」という目的があるから。
あなたにはそもそも怒りたい(誰かに怒りをぶつけてスッキリしたい、相手をひれ伏せて気分良くなりたい)という目的が先にあるからなのです。
そしてその目的を正当化するために「相手が悪い」という理由を後付けしているのです。
指導や教育を目的にしているというのは錯覚で、あなたが誰かに怒りをぶつけるための大義名分としているだけです。

この記事の冒頭で、怒りが発生する理由を”「相手に原因がある」のではなくて、実はあなたには「目的」と「相手への期待」があるから怒ってしまうのです”と書きました。
ここまで書いてきた通り怒りの原因は相手にはありません。あなた自身が誰かに怒りをぶつけたいという目的を抱えているから、他人の行動を理由づけにして怒ることを選んでいるのです。だからあなた自身でコントロールしようという意思があればコントロールできるものなのです。

「カッとなったら6秒待て」

怒りのコントロール方法でよくこう言うわれますよね。6秒待つ。これだけでも気持ちが落ち着かせ怒りを収める効果があります。
6秒待つだけでは怒りが収まらない方はきっと、「6秒待つだけで怒りが収まる」といわれても理論として納得できない人なのでしょう。

今回の記事はまさにこのような方々に向けた、怒りを理論化したものです。ただ6秒待つことに納得できない方は、ぜひこの6秒間にこんなことを考えてみてください。

【あなたの期待を相手に押し付けてないか?】

  • 自分の思い通りになることを相手に期待をしてないか
  • その期待はほかの人にとっては理不尽なものではないか
  • 相手は私の期待に応えるために生きているのではない 自分だって他人の期待を満たすために生きているのではないのだから

【その怒りの目的は何だろう?】

  • 怒らなくても普通に話して注意することもできるのではないか
  • 単に相手をことを責めて自分が満足したいだけなのではないか 相手をひれ伏せさせたい、自分が優越感を感じたいと思ってないか
  • ここで怒ることが相手の成長につながるのか
  • 本当は「ただ怒りたいだけ」ではないか

このようなことを自問自答してみましょう。「そうかもしれない」と自覚したなら理不尽さを感じて怒りが小さくなるものと期待しています。

おわりに・・・あわせてストレスコーピングも

医療関係者、配送業者、介護職・・・
こういう人たちが理不尽に暴言を吐かれている、差別的な言葉を言われている。この要因として、不自由な生活を強いられていることからイライラしている、カッカしている人が増えているのがあると思い今回の記事を書きました。
いま私たちにできること。ぜひアンガーマネジメントを身に着けて、この状況下で無用に怒りを他人にぶつけないことを心がけてほしいと思います。

今回は怒りを感じた時の対処としてアンガーマネジメントに焦点を当てましたが、そもそも怒りを持たないようにすることも重要です。それはストレスコーピングというもの。

ここまで怒りの原因は相手にはないと書いてきましたが、じゃあ怒りたいと思ってしまう原因は何かというと自身で抱えたストレスです。ストレスから生まれるイライラは怒りを誘発する根源とも考えられます。
しかし今の不自由な生活ではストレスを抱えることは当たり前です。イライラしてしまうのは当たり前です。これらが怒りや他人への攻撃心に変わる前に、そのイライラを自分で処理することも必要です。

ここではストレスコーピングのことまで書きませんが、ぜひストレスコーピングもアンガーマネジメントと併せて行ってほしいと思います。

話すこともひとつの有効なストレスコーピングです。なんかイライラしてる、ストレスを抱えていると感じたならぜひカウンセリングを利用してみてください。

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