心療内科へ行ってみた

この夏、私は心療内科に通っていました
実は去年の夏にいろんな体調不良が重なって約1か月寝込んだのですが、今年もその前兆のような状態が表れました。また同じ目に遭いたくないし、またかねてから自分自身で自律神経の不調を疑っていたので、この機会に心療内科を受診することにしました

ついでに・・・
心療内科がどんなところなのか、どんな治療をするのかを自分の目で確かめたいとも思って

このブログでもこれまで何度かカウンセリングと心療内科の違いをご案内してきましたが、心療内科の情報については一般論や通院歴のある人のお話をもとにしたものでした。せっかくの機会なので心療内科についてより確かな情報を身につけることも目的に私自身が心療内科に通う決意をしました

心療内科の流れ

【初診】
初診では最初に受付で問診票を渡されました。内容は来院のいきさつ(不調の症状)やほかの病気での通院歴、薬の服用歴など。そして後半部分は「眠れてますか」とか「死にたいと思うことはありましたか」など心理状態のチェックシートになっていました

記入した問診票を受付に提出。しばらくすると名前を呼ばれ診察室へ
入るとデスクを挟んで向こう側に医師の先生が。とても人当たりのいい、やさしい先生でした

まずは事前に記入した問診票をもとに改めて現状の聞き取り。まあ問診票に書いたことの確認です
その後自律神経の状態を検査。指先を洗濯ばさみのようなものを挟む機器で測定。今のご時世なら「パルスオキシメーターみたいなもの」と言えば想像つくでしょうか?

そして検査結果と聞き取りをした内容を踏まえて医師から見立てを伝えられ、治療方針を聞かされます。私の場合は検査の結果自律神経が「乱れている」のではなく、自律神経の「活動量が低い」という見立てで、ストレスのないような生活を心掛けるよう言われました。
そして薬を処方されるのですが、私は先日デパスで苦しい思いをしたので(詳しくはこちらの記事参照)、そのことを話して漢方薬にしてもらいました

初診はこんな感じで「さすが医療機関は違うな」と今後の治療に期待していました

【2回目以降】
ところが2回目以降はただの近況の聞き取り程度だけでした
「最近はどうですか」と聞かれて「そうですねぇ・・・」と近況の報告をすることせいぜい1~2分。特に変化がない、現状維持ならば「じゃあ今の状態をキープしていってください。では次はいつにしますか」といった流れです
診察室の滞在時間はたった3分程度、長くても5分はいませんでした

実は非常に調子がおかしくなってつらかった時があったのですが、そのときも私が状況を1~2分で伝えると「ひどくならないように気をつけてくださいね。では次はいつにしますか」といった具合で、正直なところ「えっ?何も処置してくれないの?」と落胆したものです

待合室でほかの利用者の様子を見ていたところ、全員が診察室に入室して5分以内に出てきました。私以外の人も同じように近況を聞かれただけで終わっているものと思われます

心療内科を実際に受診して感じたこと

【本格的な機器を使った検査をしてくれる】
心理カウンセリングオフィスでは質問紙を使った検査はできますが、電子機器を使い科学的分析をする検査はできません。高度な検査設備が充実している点はさすが医療機関だなと感じました
一方で、出た結果をほぼそのまま渡されるだけ(簡単な所見程度で済まされる)なので、せっかく出た検査結果をどう見ればいいのか、こういう結果を踏まえてこれからどうすればいいのかといったことはわからずじまいでした

【薬を処方してくれる】
これも心理カウンセリングオフィスではできない行為で、医療機関だからこそできる治療です
私のように漢方薬を希望すれば応えてくれますし、クリニックの方針次第でできるだけ薬を使わない、依存しないよう減らす方向を考えてくれるところもあります

【話は聴いてくれない】
メンタル不調を抱えている人には、不安な気持ちやつらい思いを聞いてほしい、わかってほしいという欲求を持っている方も少なくないでしょう
心療内科ではその欲求は満たされそうにありません。というのも実は私が通ったクリニックのウェブサイトには「当院には臨床心理士及びカウンセラーはいません」とあり、最初から傾聴(対話療法)は行わない意思が明示されてました

むしろこの点は「不満」ではなく、心療内科と心理カウンセリングオフィスの「棲み分け」と考えていいと思います
心療内科では話を聴いてくれないことは私としては織り込み済みで、逆に話を聴いてもらうよりも薬や治療で何とかしてほしかったのでこのクリニックを選びました

比較対象じゃなくて補完の関係

よく心療内科と心理カウンセリングオフィスを比較して「こっちがいい」「あっちは使えない」と批評する傾向が見られます。しかしこれらは実は比較対象ではなくて補完の関係にある。私はそう考えています
下記は心療内科とカウンセリングオフィスそれぞれでできること、できないことを表にしたものです。心療内科は今回私がお世話になったクリニックを、カウンセリングオフィスは当相談室をモデルにしてます

  心療内科 カウンセリングオフィス
医療行為 ×
薬の処方 ×
心理テスト
対話療法
人間関係分析 ×
寄り添い・共感 ×
リモート ×
セッション時間 5分程度 一般的に60分
費用 1,500円程度(*) 6,500円
(*)心療内科の費用は保険適用3割負担の場合。また検査などを行った場合は別途加算されます

「メンタルケア」と一括りにされて比較される心療内科とカウンセリングオフィスですが、このように得意分野はそれぞれ異なります。むしろお互いを補完しあう関係にあると私は考えています

心理カウンセリングオフィスでは医療行為、薬の処方はできません。また専門的な機器による検査もできません。当相談室ではこれらの療法が必要な方(すなわち対話療法では改善が見込めない方)には医療機関の受診を勧めています

一方で今回私が通った心療内科では「当院には臨床心理士・カウンセラーはいません」と明記されてました。裏を返すと「話を聴いてほしい人はカウンセラーのいるところへ行ってください」ということです。それは心療内科医も私のようなカウンセリングオフィスの存在意義を認めていただいているものと思われます。実際、当相談室にも心療内科医の了解を得て私のカウンセリングを利用されている方がいます

実際に受けて感じたこと

私は2週間に1回のペースで3か月、計6回通いました
しかし毎回1~2分程度近況報告して、薬を出されて「また次回お会いしましょう」と言われるだけ
現状維持の時ならともかく、本当に苦しいときでも何の処置もなかった・・・
正直なところ私は治療の効果を実感できませんでしたし、このまま通い続けても何もされないし何も変わらないと思いました。そこで私の方から治療終了を申し出ました

心療内科についての私の印象は、受ける前に持っていたものとほぼ相違ありませんでした
話を聴いてくれるところではない、医療に基づいた治療をする場なんだ、と
そこは思っていた通りなのですが、ただ治療についてはここまで何もしてくれないのかと驚きました
もちろん治療内容は人によりけりかと思いますが、実際私が何とかしてほしいと苦しんでいた時の診察内容にはかがっかりしました。心療内科の特徴は医療に基づいた治療をしてくれる点だと認識していた私にとって、この点は裏切られた思いです

ただ医師の先生はとても人当たりがよく優しい先生でした。この先生がもしじっくり話を聴いてくれるようなら「心療内科ってすごいな」ってことになりそうです
ただ患者数が多いので1人の診察は5分程度で終わらせなきゃならないのも仕方がないのかもしれません
予約制ですが、同時に待合室に5人程度いることからおそらく30分に5人ペースで行なっていると思われます。また この心療内科に予約したときは初診まで半月以上待たされましたから、今、心療内科はパンク状態なのかもしれません

心療内科の口コミで「話を聴いてくれない」と同様に多いのが「流れ作業のように数分で終わった」というクレーム。ですが抱えている患者の数を鑑みるとそれは仕方がないなとも感じました
この辺も補完の関係として心理カウンセリングを検討してもらいたいと考えてます
心療内科にかかるまでの間の、一時的なご利用も歓迎です

最後までお読みいただきありがとうございました

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