何か痛みがあったり体の不調を感じているのに、検査をしても異常がない、また異常があってもその原因がわからない。そんな場合にお医者さんから
「ストレスによるものですね」
こう言われたこと、みなさんもあるのではないでしょうか
まあ異常が見つからないのですから原因はストレスだろうとするのは理解してます。ですが痛くて、つらくて、困っている患者としては
「そのストレスによる痛みをなんとかしてよ!」と言いたくなりますよね
じゃあどうすればいいのかを聞いたところで「ゆっくり休んでください」と言われることがほとんど
でも睡眠時間も十分にとっている、仕事のストレスもほどほどという人は何がストレスなのかということ自体がわからないはず。なのに「原因はストレスでしょう。だから休養をしっかりとってください」で済まされても困りますよね
「ストレスが原因=休めばいい」は思い込み
お医者さんは「ストレスが原因=休めば回復する」と結び付けてこうアドバイスするのでしょうが、この考えもどうなのでしょう?
そこには「ストレス」という言葉に対して自動思考(思い込み)が働いていると考えられます
みなさんは「ストレスはありますか」と聞かれたら、何を判断基準にして答えますか?
おそらく「ストレス=疲労度+精神的プレッシャー」と考えて答える方が多いでしょう。そして疲れや仕事上でのプレッシャーを感じているようであれば「ストレスがあるなぁ」と答えるのではないでしょうか
このようなストレスなら、確かにお医者さんが言うように休めば回復するでしょう
この「ストレスとは疲労度+精神的プレッシャーだ」→「だから休めば回復する」というところが自動思考、すなわち思い込みなのです
もちろん疲労やプレッシャーはストレス要因です。ですが・・・ストレスの要因は疲労やプレッシャーだけではありません。そして回復方法もそれぞれのストレス要因によって異なった方法があります
3種類のストレス
「原因はストレスですね」と言われても「いや、疲れもそれほどないし、別にストレスを感じてないんだけど・・・」と困惑される方もいることでしょう。そんな方は実は疲れやプレッシャーとは違う「別の要因のストレス」を抱えているかもしれません
ひと括りに「ストレス」と言われますが、分類するとおおむね
・身体的ストレス ・心理的ストレス ・環境的ストレス
の3種類があります
身体的ストレス
身体的ストレスは体の異常や不調、違和感で感じるストレス。病気やケガ、体の痛み(疲労も含む)によって抱えるストレスです
疲労感といった比較的軽度のものから痛みに耐えるつらさまで、体の不快感が常に気になってしまうことによって抱えるストレスです
痛みも疲れも自覚がないという方にも、実は疲れていた、実は胃腸にちょっとした痛みがあるけど気にしていなかったなどというケースがあり、知らずのうちに身体的ストレスが蓄積している可能性もあります
また痛みは同時に不安感を引き出します。いつ痛みが出るかという不安、どんな動きをしたら痛みが出るのかという不安、もしかしたらこの病気で死んじゃうかもという不安など。これらがストレスをさらに増幅させてしまいます
心理的ストレス
心理的ストレスはこころの不調や不具合によって抱えるストレス。うまくやらなきゃいけない、失敗できない、期日までにやらなきゃいけない、上司や先生にまた怒られてしまう・・・など将来への不安や悩み、仕事のプレッシャー、人間関係の不具合などメンタル面の苦しみのストレスです
環境的ストレス
環境的ストレスは周囲の環境の影響によって被るストレスです。気温や湿度、寒暖差といった季節や気候の変化、部屋の明るさや近所の騒音など住環境や職場環境の不具合に適応できない場合に抱えてしまいます
極端な事例ではガタついたデスクで仕事をやり続けていた、部屋に対して斜めに家具を置いていたことが原因となったケースがあります
これらの影響でイライラするなどストレスが行動に現れている場合はわかりやすいのですが、自覚がなく無意識のうちにストレスが蓄積している場合もあります。たとえば風邪をひいたときに初めて寒暖差によるストレスを自覚するなど、環境的ストレスは身体的または心理的に異変が現れてから初めて気づくこともあります
休んでも回復しないストレスもある
改めて「ストレスはありますか」と聞かれてどうですか?
疲れやプレッシャーだけを基準にして「ない」と思っていた方も、寒暖差や人間関係のことまで含めたら「実はありました」と気づいた方もいることでしょう
原因不明の体の不調を訴える方で「私はストレスの自覚がない」という方も、この3種類のどれかに思い当たるストレスがあったのではないでしょうか
まずは自分が抱えているストレスがどの種類のストレスにあてはまるのかを認識しましょう
そして「そのストレスに合った解消法」を実践することが大切です。3種類のストレスはそれぞれ対処法が異なります。見当違いな対処をしてもストレスは取り除かれません
身体的ストレスの対処法
身体的ストレスは病気を治療したり、痛みや不快感を取り去ることが対処法になります
一般的には病院で治療してもらったり薬を服用したり、マッサージや鍼灸などの治療を受けることで病気を治療したり痛みを取り去る・緩和することになりなす
疲労やちょっとした頭痛など軽い症状であれば「ゆっくり休む」という選択もアリでしょう。休むだけで体調が回復することもよくありますからね
心理的ストレスの対処法
心理的ストレスは不安や悩みに起因するもの
解消するには抱えている悩みや問題をクリアにすることが対処法です
心理的ストレスにおいては「安心感を感じること」が最良の薬となります。その安心感がさらに楽しさ、嬉しさ、気持ちよさを引き出すとストレスの解消へ向かっていきます
そのためには心理カウンセリングなどメンタルケアサービスで悩みや不安な気持ちをわかちあったり、抱えてる問題の解決法をいっしょに考えるなど専門的な処置でクリアにすることが望ましいでしょう
ストレスが軽度ならば、友人に愚痴ったり不満をぶちまけるだけでもストレスが解消されることが期待できます。また趣味の活動や、やりたいと思っていたことをやってみるなど楽しさを満喫することでも解消の可能性があります
一方で、心理的ストレスは休むだけで回復するケースはほとんどありません
確かに一定期間の休養で気力・体力の回復、プレッシャーからの解放など一時的な効果は期待できます。しかしストレスの根本、すなわち悩みや問題(たとえば仕事上の不安など)が解決されてないので、いずれまた同じようなストレスを抱え不調を繰り返すことになります
環境的ストレスの対処法
環境ストレスの対処法は要因となっている環境を改善・改良することが必要です
たとえば寒暖差によるストレスで体調不良を誘発するケースは多く見られます。衣類での調整、住環境の改善、適度なエアコン使用など「自分が心地よく過ごせる環境」を意識的に整えていくことが必要です
近隣の騒音など、中には改善させるのが難しいストレス要因もあるでしょう
そんな場合は心理的ストレスと同様にカウンセリングなど相談機関を利用して、どうしたらストレスを軽減できるか、問題を解決する方法はないかなどをいっしょに考えてみるのもひとつの方法です
このように環境的ストレスの解消には行動が必要です。当然ながら休んでも解消されないストレスです
休むのではなくストレスに合った行動を!
原因不明の痛みや体調不良。検査でも異常がないのならストレスが原因と疑うのは正しいでしょう
しかし「ストレスが原因なら休めばいい」というのは間違いです
ここまで書いてきた通りストレスの種類によっては休んでいても解消されないものがあるからです
・ストレスには3つの種類がある
(身体的ストレス・心理的ストレス・環境的ストレス)
・自分はどの種類のストレスを抱えているかを認識する
・そのストレスに合ったケアを行う
こうしてストレスに正しく向き合うことでストレスが解消され、原因不明の痛みから解放されるといいですね
原因不明の痛みって、ホントにつらいですよね
検査結果に異状がないからって「なんともありませんよ」とか「ストレスじゃないですか。ゆっくり休んだら治るでしょう」で片づけられてしまうのは悲しいものだと思います
「ストレスですね。何がストレスになっているか、いっしょに考えてみましょう」
「そういうストレスならこうすることで回復が期待できますよ」
・・・こういうお医者さんが増えるといいですね
最後までお読みいただきありがとうございました